歴代歴史における「智将」とは?鬼謀をふるって戦場に奇勝を上げる点ではない。闇の中に灯火を掲げて人々に正しい道を知らせる、その明哲さにあるのだ。

「もし、 

過去の友誼や親交を思い、

魔軍の将を討つにためらう者があれば、

それは公理より私情を優先し、

パルスに仇をなす者だ。

たとえ国王(シャーオ)が寛大にお赦しあろうとも、

このナルサスが生かしておかぬ。

覚えておいていただこう」


 ナルサスの剣技が倫(たぐい)を絶した領域にあることは、一同よく承知している。だが、それとは別に、鋭い論理と烈しい意思とが、歴戦の驍将たちを威服せしめた。


  宮廷画家という虚名にしがみついているかのようなナルサスという人物が、大陸公路列国における随一の智将と認められる所以は、鬼謀をふるって戦場に奇勝を上げる点にのみあるのではない。闇のなかに灯火をかかげて人々に正しい道を知らせる、その明哲さにあるのだ。


アルスラーン戦記

著:田中芳樹

ナルサス

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